- THE MULTI WALL -

所在地:  日本
設計  :  2006.01-2006.02

日本の商業施設は、他のオフィスや住宅と同様都市の局所的に集中して存在し、結果的に、都市の諸機能は明確にゾーンを分けられている。そして商業空間は「売買」以外の機能をほとんど併せ持たない。またインターネットショッピングの発達によってものと実際に対面しなくても商品を手に入れることが可能となり、ショッピングは身体運動を伴わないヴァーチャルな世界にもなりつつある。

一方都市の道路際に建つ建築壁面は、その昔は、内部と外部を「隔てながらつなげる」役割を担っていたが、現在は、出入口、通風・採光窓以外の接続機能は弱まり、離隔機能が強化され、都市の多くの建築ファサードは閉鎖的で退屈なものとなっている。この提案はそのつまらない未使用な建築の表層部分を使い、現在路上にばらばらに乱立している広告、自販機等の既設機能と都市のパブリックスペースに不足しているコミュニケーションスペース、緑地帯、情報等諸機能を併せながら新しい商業空間を計画する試みである。従来ショーウィンドウという建築の内外を接続する仕掛けを備えているが今回はそのショーウィンドウ分のスペースだけで店舗機能を満たす新しいショップスタイルである。

壁面に設置する多面体パネルは、各々のケースには異なる機能が内包され、その一種に店舗機能が存在する。ケースはレンタル製でひとつの商品から自分の店を持つことができる。売り人は不要で携帯電話によって商品を購入でき、セキュリティー装備によって試着もできる計画としている。またこのパネルは、設置する道路や環境に応じてサイズや機能が異なる数種類にユニット化され、移動が容易で短期間の現地施工が可能な様にアルミ製プレファブ工法としている。

都市に局部的に集中する内向的な商業空間を公共的機能と共に再度都市のパブリック空間に沿ってネット状に再編することで、日常的に人々が使える本来のパブリック空間を取り戻すことを試みる。